『シンプルであるということは、物事と深く向き合うための間を作ることでもある』- テレンス・コンラン-

整える

『シンプルであるということは、物事と深く向き合うための間を作ることでもある』
– テレンス・コンラン-

この言葉に出会ったとき、私は自分の思いを言語化してくれたように感じました。


私は整理収納、特に生前整理のお仕事をしたいなと思った時に
単にモノを減らしたり、収納を整えたりするだけではなく、
その人の暮らしに「間(ま)」を取り戻すお手伝いをしているのだ、と。

片づけは、単なる「処分」ではない。
私たちは日々、情報にもモノにも囲まれて暮らしています。
便利さの裏側で、心の余白はどんどん埋まっていきます。
「あれもこれも」と抱え込みすぎて、立ち止まる時間さえ失ってしまう。
そんな日々のなかで、あえてモノと向き合い、「選び取る」ことは、実はとても深い行為です。

「本当にこれは、今の私に必要だろうか?」
「これがあることで、私は心地よく暮らせているだろうか?」
一つひとつの問いは、モノに対して向けているようでいて、実は自分自身への問いでもあります。

空間の余白は、心の余白
整理収納は、単に「スッキリさせる」ための技術ではありません。
暮らしの中に余白をつくり、そこに呼吸のような間を取り戻すこと。
コンランさんの言う「物事と深く向き合うための間」は、まさにこの余白の中に生まれます。

・お気に入りの器でお茶を淹れる時間

・季節の移ろいに気づく余裕

・大切な人との会話に耳を傾けられる静けさ

こうした「暮らしの質」は、整理された空間から少しずつ育っていきます。
「間」を持つことで、見えてくる本当に大切なこと

モノを手放し、空間を整えることは、ただの作業ではなく「再選択」のプロセスです。
過去の自分にしがみつくのではなく、今とこれからを大切にする視点を持つこと。
そうすることで、暮らしも、心も、少しずつシンプルに、そして豊かに変わっていきます。

整理収納のお仕事は、そうした変化の入口をそっと開くお手伝いです。
誰かの暮らしの中に「間」が戻り、自分自身と丁寧に向き合える時間が生まれること。
それこそが、私がこの仕事をしたいと思った理由です。

必要以上のモノや情報が溢れる時代だからこそ、シンプルであることの価値が見直されています。
それは「手放す」ことではなく、「向き合う」こと。
そして、「余白を取り戻す」こと。
そんな整理収納の本質を、これからも伝えていけたらと思います。